土曜日, 2月 12, 2011

ガラパゴス建築2 金沢の雪と群青・紅柄




この写真は主に和室の壁に塗る、プレミックの現代版「入洛壁(じゅらくかべ)」の見本帳です。住宅の和室の土色系や緑系の色味はよく使われるとおもいます。
現場で壁の色を決めるときはこれの大判の見本を現場に当ててみたりしてお客さんと決めています。私がわりと好きな色は右上の色、落ち着いてよく私は使っています。

この下の写真もおんなじ品物の見本帳です。
「はっ?」と言う声が聞こえてきそうですね。
赤や青はどこに使うのか?商業施設?旅館とか?住宅でそんなの使う人はいないだろと思いますよね。
でもいるんです、金沢の住宅のお座敷は朱壁や群青の壁といって一般住宅でも普通に使われています。
私の生まれ育った町屋にも床の間がついた部屋は群青の壁でしたし、親戚の家は朱壁の座敷がありました。もちろん近所のどの家に行っても青か赤の和室がありました。なおかつ木部は全て拭き漆が施され白木の部分は一ヶ所もありません。天井板までもです。
そしてこの見本帳は大手の建材メーカーのれっきとした既製カタログです。そしてこの商品の売り上げの9割以上が金沢と能登の一部だそうです。


以前都会の設計事務所一年生のころ、住宅のインテリアのカラースキムの案を作ったとき、和室に青い壁を提案して、先輩に「君のセンスはどうなってんの?」と怪訝な顔をされました。「えっ?じゃあ赤ですかね?緑じゃちょっと格が低いですし~」とまじめに自分は答えていたのですが、そのとき恥ずかしながらこれが特殊な色使いの壁だと初めて気づかされました、そんなの全国どこにいってもないのです。
金沢では普通だと説明した後の先輩たちの反応は、センスない・どぎつい・落ち着かないなど散々でした。
あとあと実物を見ると反応は、思ったより落ち着いてる・なかなかいけると若干変わっては行くのですが…。皆さんはどう思われますか?


京都や各地の町屋と金沢の町屋の違いをファサードからの違いを専門家的に指摘する事は可能なのですが、門外漢の人が見れば木造2階で瓦があって、平入りで、格子が着いて、たぶん同じに見えちゃうでしょう。一番解りやすい違いは内部の「壁の色」なのです(まあ、町屋に限って色が付いてる訳ではないのですが)。
こんな派手な色が好まれたのは、諸説あるようですが、金沢は雪が多くどんよりとした日が多いので内部を華やかにしたという説が強いようです。今週のこの大雪が1ヶ月も2ヶ月も続けばそうかもしれないな~と、雪かきで痛い腰をさすりながら、これこそ金沢のガラパゴス建築、雪が文化を創ってくれたとすると、雪かきもしょうがないと納得。





























月曜日, 2月 07, 2011

ライトなお茶会

もう1ヶ月もたちますが、お正月に訪問したお宅でお抹茶を頂きました。
伺った家はマンションの一室で、そこの和室でお茶を点ててもらったのですが、別に炉をきった茶室なわけでもなく、「けっこうなお手前で」とか形式的に言うでもなく、全くコーヒーブレイク的にお抹茶を頂いただけなのですが、一様最低限必要な道具は揃っていて、味と雰囲気は味わえてなかなか良いものでした。


この軽いのりのお茶会ところに実は金沢らしさが垣間見えます。
普通の古さの町屋の2階には結構一般のお宅でも炉の切った和室があったり、新建材で造られた最近の住宅でも炉付の和室が結構あります。
大人は人様の家に上がってもうろうろできないですが、子供のころは人の家の中全体で遊びまわっていたので、小さいころそんな和室をよく目撃しました。

茶室があるなんていうと、大豪邸か文化人のお宅をイメージするのかもしれませんが、私がそんなところで遊んでいたはずもなく、ごく一般的な家庭の一般的な住宅でのはなしですです。

なにがいいたいかというと、もちろん綿々と受継がれる作法や流派がきっちりありますし、隣の奥さんは師範だよとか、お花の先生だとかいうかたもいっぱいいらっしゃるし、粋な茶室もいくつも残っていますが、そおいう事ではなく、マンション住まいでも茶道具があったり、普通の住宅に炉があったり、茶道というほど大げさでなく「お茶を点てて楽しむ」事が他の地域よりずっと気軽な普段着ぽい感覚で今でも残っているような気がします、この「ライトな感覚で残っている事」が金沢のいいところだと感じませんか?

水曜日, 2月 02, 2011

大雪で解った事 「路地の広がり」

週末に北陸地方は大雪が降りました。
ニュースの全国版で報道されるほどJRも高速道路も2日間マヒ状態で大変です。
夜のうちからしんしんと降る雪をみて明日の朝の出勤に備えて、少しでも雪かきしておこうとスコップをもって外に出ましたが、やってもやってもすぐに積もるので、お隣さんとも「今日はジタバタするのはあきらめよう」といいながら撤収。
月曜日の早朝心配になって家の前へでてみると案の定、道路も駐車場も真っ白でこりゃ大変だと青くなりました。近所を見渡すと、たまたまなのか?あらかじめ非難したのか?ご近所さんの車がいつもより少ないです。それもあってなのか…?いつもと何かが違って見えました。

我が家の前面道路の幅は4.5m、車を停めるために家の前に5mの空地があります、お向かいさんも3mほど空地がありますので我が家とお向かいさんの間は12~13m空間が開いています。役70mほどのここの街区はお向かい同士の関係はほぼ同じです。
それがいつもより広く感じます。
向かいとの距離は変わるはずがないのになぜだろう?と考えると、道路と敷地の境界線が雪でなくなり長さ70m幅12~15mの一体的な外部空間に見えるのです。

普段も道路と家の前面空地の仕上げ材を統一すれば、晴れた日もこの広がりが感じられるのだろうと思います。なかなかそうはいかないのですが近隣と道路管理者が協力すると味気ない路地が帯状の広場になれる事が雪のおかげで確信でき、大雪もまあ今回はしょうがないと思いながら朝の雪かきをしたのでした。

日曜日, 1月 23, 2011

ガラパゴス建築?擬洋風

尾山神社の紳門の回で「擬洋風」の建物と書きましたが、結構金沢の市井の建物にも擬洋風と言える物があります。犀川の周辺をちょっと歩いただけで6つも見かけました。


明治のころ日本の近代化に伴ってヨーロッパの建築様式が導入され外国人建築家を招いて建設されたり、その教育を受けた日本人建築家(辰野金吾や伊藤忠太等)が設計して様式建築が増えていったのですが、それを真似て大工たちが洋風っぽい建物を建てていきました。建築家の設計の洋式建築とは区別されてそれらを「疑洋風建築」といいます。
昨日まで和風住宅を作っていたのだからやっぱり「擬」な洋風にっています、たぶんオーダーなんてあんまり意識されてないのではないでしょうし、明らかに和風なエレメントと無造作に合体したりしています。日本のガラパゴス建築とでもいいますか、ちょっとほかの国ではない建物なんじゃないでしょうか。当時の周りの反応はどうだっのでしょう?先端のイケてる家と捉えられたのか、おかしなものに見られたのか?全国には文化財となっている「疑洋風建築」もずいぶんあります。

下の写真が私のおススメです。金沢らしいと無理やり言えそうで、町屋の並びにビルトインされた「疑洋風町屋」とでもいうものが面白いです。間口やファサードの分割の構成は隣の町屋に近く、1階だけが「疑洋風」。




写真は当然明治のものではないですが、テレビなんかで見る着物姿にハンチング帽子の粋な旦那とイメージがダブって、なんか微笑ましくないですか?

日曜日, 1月 16, 2011

高気密・高断熱と住宅のアクティビティー

金沢のビルダー・㈱都市住宅のホームアドバイザーさんに会いました。彼は古い友人、家が近いので久しぶりに一緒におでんを食べました。
都市住宅さんは高気密・高断熱の住宅に特色があります。
高気密・高断熱住宅の是非はむつかしい、専門家の間でも賛否両論あります。
彼は、単なるエコのトレンドに乗って高気密・高断熱を提案しているのではありませんでした。
高気密・高断熱を家のアクティビティーを上げるための手段として捕らえています。
アクティビティーと高断熱がなんで関係するか?
自分も町屋育ちなのでよくわかりますが、気密の低い家は寒いです。この「寒い」と感じる時期は金沢なら5ヶ月ぐらいは続きます。その期間家の中では暖房器具のそばに人がよって動きが悪く、子供が一日中こたつに入りっぱなしで動かないで、母親に「あれもってきて・これもってきて」「自分で動きなさい」という光景が思い出されます。
これは健康的な光景ですか?否だとおもいます。心当たりのあるお父さんいるのではないでしょうか?
冬の期間でも普段と変わらず活発に動き回れる環境の家というのは5ヶ月も寒い金沢では相当重要な視点です。
具体的に言うと広々としたワンルームのLDKを相当の面積をさいて造ったにもかかわらず、冬の5ヶ月間は隣の6畳の和室で全員過ごしているといえばイメージできるのではないでしょうか。
また、温度のバリアフリーという視点も大事です。寒い廊下に出るのが嫌だからトイレをぎりぎりまで我慢したり、脱衣所が寒いから冬場の朝のシャワーを控えたり、洗濯する回数を減らしたり、温度差をなくすと、このような事がなくなる=家の中での活動が活発になるし、お年寄りの血管障害も温度差で起こる事も少なくないらしいから安全でもある。
ぬくぬくした環境の家では子供がひ弱になると言う指摘もありますが、こたつに入りっぱなしの子供のほうが不健康、冬でも家の中を動き回っているほうがよっぽど体にも精神的にもいいだろというのが彼の持論。
高気密・高断熱化するとそうとう結露が抑えられます。すると、腐れに強いと言う理由でヒノキ神話に頼らなくても適材適所の木材を使用できるメリットもあります。
環境負荷が低減されて、長持ちするのは今のトレンドでは当然で、その上で家庭生活が活動的でいられる家というのが彼の高気密・高断熱住宅論。単なる環境論者ではないところに共感しました。


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水曜日, 1月 12, 2011

オープンハウスIN金沢5

今年最初のオープンハウスへ行ってきた。
りでこでやの工藤さんに案内をいただいたものです。工藤さんは女性建築士、女性の登場は初めて。
施工はダイモンシステムさん。お話をうかがうと設計者⇔施工者というより、大門さんと工藤さんの共同作業のような感じみたいです。

自然素材・無垢の木材にこだわった家というのが特徴です。というと流行の自然系かと。
しかしお二人の話をよくお伺いすると、はやりすたりの範疇ではなく、長持ちする家・地産地消の家で自然にも、住み手にも、地域にもやさしい建築でありたいとのお話が大変感銘を受けた。今までいくつも見たオープンハウスでは聞けなかった話だった。

最近の木造住宅はほとんど工場のマシンで材木を加工するプレカット工法を用いて現場の大工さんの仕事は組み立てるのが主な仕事、現場では仕口(ジョイント)を加工しませんが、この住宅は全て昔ながらの手作業で大工さんが現場で加工したそうです。
なぜそこまでするかというと、プレカットと手加工では材木どうしのジョイントの精度がぜんぜん違い、金物ジョイント全盛の今の工法では木組み軽視がされている事に不安を持っているからだそうです。



内部の仕上げは呼吸する珪藻土を使っています。薄塗りの珪藻土で呼吸の効果が本当に得られるか?との疑問には、「昔のように厚くぬれないのは判っているので面積でかせいでいる」とのこと。それなので天井まで左官仕上げです。これは仕事が上を向いてするので大変な工事でなかなか用いる現場はありません。
そして本気を感じるエピソードは「珪藻土といっても化学糊入りのプレミックスは使わない」ほんとの土と石灰を練って塗っているそうです。

そして防蟻剤も科学薬品ではなく柿渋を利用することを研究中だそうです。最近は海外のシロアリで屋根から侵入するものが国内でも発見されていて、その対応も研究中とのこと。

そんなことをしていると工事費が当然高くなるのですが、それは既成の流通ルートや職人が楽な既製品の建材を使っていてはだめで、足を使い、アイデアを捻り出し良いものを出来るだけ安く調達する努力をしているそうです。 階段の凝ったデザインに見える手すりは自動車部品の型抜きの後の廃材利用だそうです。なんだかかっこいい。

足とアイデアと信念でできた住宅で勉強になりました。

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