金曜日, 8月 05, 2011

天徳院




天徳院
前回書き込みしました小立野小学校のすぐ近くに「天徳院」という寺院があります。
これは皆さんご存知のように、江戸に人質として行ったおまつの方の代わりに江戸から来た玉姫の菩提寺です。
この寺院は黄檗建築様式で金沢では珍しい部類だと思います。寺院の様式は柱と横架材の接合部の形や間隔で見分けますが、まあ専門家でなければ解りにくいです。
その点黄檗様式は窓が真円だとか、正方形の格子だとか手すりがラーメンの鉢のマークみたいな四角い渦がただとかサイン的で見分けやすいです。モダンっぽいといえば言えなくもないし、中華っぽいと言ったほうが当たっているのかもしれません。


先に書いた小学校は江戸時代はこのお寺の境内地でした。
石引通りに平行・垂直に涌波から小立野・石川門までの街路が形成されていますが天徳院の参道は変な方向に曲がっています、地図を見ると天徳院の周辺一体のグリッドが東側に30度ほどずれています。従って小学校や金沢商業の裏手には三角な敷地があります。し天徳院の山門の入口にも三角地があります。
これはなんでなんだろうと不思議に思ってグーグルでそのグリッドの角度で東に行くと皇居にいたります。すなわち江戸城の方角に向かって天徳院は建っているような気がします。
これは偶然なのでしょうか?それとも加賀と江戸の友好の証左として女性二人が入れ替わった事に思いを馳せて建てたのでしょうか?(詳しい方教えてください。)
だとしたら江戸時代の測量技術の高さには驚きです。
また、そんな思いを建物に込めた誰かにも共感します。

木曜日, 8月 04, 2011

新小立野小学校

小立野小学校が完成したので見学しました。

建築物は、世の中のニーズの変化や技術の進歩に伴い同じ機能の建物であってもどんどん内容が変わっていきます。設計者はそれを素早く感じ取り時代についていかなければなりません。
と、書くと建築家は時代に引っ張られる側でリードできない存在なのかという感じもします。しかし学校は、建築物からの提案によって学習スタイルが変化していった数少ない用途の建物だと言われます。

吹抜け空間(アトリウム)、オープンスペース、スライディングウォールによる仕切り、2面採光等、今では一般化されている小学校の作り方は建築家側からの提案で時代々々の規制緩和もあり、それによって授業のスタイルも多様化できるようになったようです。
それは全員が体験・利用した事がある施設だからでしょうか。
それでも、見学中、「最近の学校は…」という声がわりと聞こえるのですが、先のオープンスペース等が登場したのが1970年代なのでもう30~40年経っている事を考えると、それが「最近の~」に見えるということは、地方に浸透するのにはすごく時間が係るのだと感じました。

公立学校は時代のトレンドが公共施設の中でも早い時期に反映される施設でもあります。地域への開放・連携、ワークショップによる設計手法、自然エネルギーの利用、公共建築の木材の利用促進等どれも学校建築に真っ先に取り入れられています。
昔は、木造の和洋折衷の学校が村の近代化の象徴であったように、学校建築は教育以外の意味が昔からこめられていたのかもしれません。

見学した学校は上記の基本は全て取り入れられていて、既存の樹木を残した建物配置がされて所々緑が見えます。コンクリート打放に飴色の着色がしてある外壁はあまり見掛けないもので珍しかったです。

火曜日, 8月 02, 2011

白山市役所




白山市役所

用事があって白山市の市役所に行きました。
門型の建物が目を引きます。
門型のビルというと、パリのグランド・アルシュや梅田のスカイビルがありますが、大きさがこじんまりとしていて、門型と広場の関係がいいスケールです。
門の上にガラス張りのブリッジがあって、渡ってみたいなと思わせてくれます。超高層で展望台に上がってみたいと思うとか、用事がなくても行ってみたくなる市役所っていいんじゃないかと思います。
門型は南北の軸をまたぐように構えていて、北側の旧松任市街と比較的新しい8号線以南の地区を結ぶようなイメージを設計者がしたのではないでしょうか。それを強調するように、南北にケヤキの並木が作られていて門の下を突っ切っています。
ここで市民が憩いの活動をしているとすごくいいなと思えます。市役所をシティーホールと呼ぶのにぴったりです。
広場と内部の市民課のホールがもっとオープンだったらと思うのと、石張りの広場が臨時駐車場になっていたのが残念でした。実際は車で来て用事を済まして帰るという事が地方では一般的だからなかなかせっかくの「広場」が活かされにくいのかもしれません。

月曜日, 8月 01, 2011

建築士定期講習

建築士定期講習というものに行きました。
この講習会は、建築士が3年に一度受講する事が法律で義務付けられています。
頻繁に改正される法律、構造・設備や環境などの最近のトレンド、建築士の義務など講習内容は多岐にわたります。
このような講習は以前はありませんでした。建築士の免許は一度合格すると更新もありませんし、定期的な講習もありませんでしたが、それがどうかということになったのは耐震偽装事件からだと思います。
善良な建築士からは批難もありますが、講習・勉強自体は良い事だと思います。
講習の最後には試験もあり、ちゃんと聞いていないと解答できません。
試験まで終えてみての感想は楽しいものではありませんが、必要な事だと感じました。建築士とて、建築に係る事を全て知っているわけではありません。医師免許を持っていても内科や外科と専門が別れるように、建築士の仕事も細分化が進んでいますし、法律も最近はよく改正されたりしますから、広い範囲の講習では専門外の事や新しい法律の意味・運用法などが理解できます。実務に忙殺され専門外の事になかなか突っ込んで考える時間がとりにくい事を考えるとよい機会だったとおもいます。

この講習は衛星放送でモニターを通して受講します。最初は「テレビ見て1万2千円もとるのか!」と思っていました。
しかしシこれが大間違いで、シナリオ・演出がきちっとしていて、時間配分がされていて、聞きやすいです。要するに講義のクオリティーが高いところで一定に保たれていてどの地域でも同じ品質の講義が提供されます。
いくつも講習に行っていますが、話しベたな講師、時間が押す講師、聞こえない講師などが何が言いたかったか解らない講習もありますから、品質の保たれる一斉放送は悪くないと思いました。
講習内容もさることながら、同じテキストを用いても見る側・聞く側の理解が変わる「演出」の重要性を体感した感じでした。