水曜日, 6月 08, 2011

ラモーダ

先日、香林坊のラモーダを見る機会に恵まれました。
設計は日本設計。日本のエリート設計組織。

北国新聞の赤羽ホールと同じ設計者 浅石さん。


ファサードのデザインは金沢→和風→黒ということで、市松模様と黒ということらしいです。
谷口吉郎さんが昔、近代建築+和風=障子モチーフとしていましたね。
道路にぎりぎりに垂直に立ち上がるビルばかりの中に裏に抜けるようにエレバーターホールを街に開放していて好感が持てます。アーケードは強化ガラスでできていて、透明感を出来るだけ損なわないように鉄骨もスレンダーです。
ファサードの平面的ずれと立体的ずれがどのような内部空間を作っているのか、外から見るイメージは何かレイヤードされた内部空間を勝手に想像していましたが、それは勝手な想像でいたってシンプルな内部空間です。
この建物のかっこよさを支えているのはディテールの素晴らしさもあるのでしょう、全てに目が行き届いている感じがします。
金沢→和風という解釈はどうでも、目を惹くデザインで香林坊が一気にかっこよくなりました。


1階にはジャーナルスタンダードとBEAMSが入るそうです。新聞によると、ビームスが進出するとその街の価値が上がるとか。
そんな影響力あるのか…。

メジャーなセレクトショップとエリート設計集団で金沢の街が良くなる事はいい事だけれど、地元ショップ+地元建築家ではどうだ!
街医者と大学病院、個人弁護士とローファーム、困った時にはどちらを選ぶか?

火曜日, 6月 07, 2011

金沢海みらい図書館

震災後、なぜだか呑気に建築探訪っていうのもどうかと更新できずにいます。
でも新しい建物ができると見たい衝動に駆られます。

ということで、金沢市の未来図書館に行ってきました。
設計はシーラカンス、プロポーザルで選定された建物で白いキューブに無数の孔が開いている外観が何か新しい空間を予感させます。
まさかこの孔が「海」つながりで船の窓とかじゃないよな~、などとベタな事を考えて中に入ります。
プランは2層吹抜けの書架スペースに面して2層の閲覧スペースが面しているというシンプルなもので、わりと見掛ける空間構成で安心した感じです。
内部空間にはあまりヒエラルキーがなく造られています。
外部空間との連続性とか、居住性とか、スペースの分節とかが図書館建築にとって重要な時代がこのあいだまであったように思いますが、それらに重きを置いているようではありません。
壁面に書架を設けていないからなのか「本に浸っている」という今までの図書館での体験とも違います。
無数の規則正しい丸い小さな窓の効果もあってか、データーの集積装置といった印象です。どこに何の情報があるか全体が見渡しやすくて把握しやすいです。小人になってICチップに入り込んだようでもあります。

図書館というのは、大勢集まっているのだけれどお互いにコミュニケーションはなく、それなのに他者との関係作りを促す施設よりもよっぽど他者に気を使わなければならないという特異な施設だと思います。だったら内外の連続性だの居住性だのとまったりした作為は実は役に立たない、規則だけを与えるだけなのが最善だ・本来的だということなのでしょうか?
書架という回路を結ぶ人というBUS、閲覧机はさしづめRAMとか。当然中身は外から見えないのがコンピューターだから大きな開口部はいらないし…。

どうあれ、ICチップに入り込んだ事はないのだから、そう思えた体験というのは新しいとおもいました。