「新しい普遍性」「ローカルな必然性」というタイトル。
パネラーは平口泰夫御大、長村峰行さん、松田達さん。
前日にも話を聴いたが2日間を通してよく出てくるキーワードが「バッファー」=「緩衝帯」である。
環境の厳しい北海道で設計活動をしている氏にとって、自然環境から住環境をどうまもるかという事に重きが置かれるのは当然だとおもう。
必然と大きな開口部で外部とスカッと繋がっているなどという住宅ではなく、わりと一見閉鎖的な建物に見える。
五十嵐さんの住宅は従来のいわゆる「開口部」の機能を分解して考えるところに特徴があると思う。通常「窓」は「採光」「通風」「集熱」「眺望」など複数の機能を同時にもたされるのだが、「採光」はトップライトや断熱機能を持った半透明な壁などから拡散光に変換して光を取り入れる。「通風」は壁の一部が開け閉めできる仕掛けがされて存在が消されている。
思い切ってディレィトした「眺望」の変わりにプランニングや断面構成により視線が移り行きいろんなシーンが展開する仕掛けがなされている。
バッファーを深く掘り下げて考え、既存の考えで開口部を作る事を拒否したことで、今までにない新しい空間が出来上がっている。それは地域性を深く考えた帰結である。地域で設計活動をすることが全くプラスに働いて見える。
そのことについて、五十嵐さんの発言にシンパシーを感じた。
「各地でいろんな公演をするとどこへ行っても決まって、『わがまちには特徴がない。だから地域性を活かした住宅なぞ生まれない』とみんなに言われるが、特色はないと思えばないし、よく見ればいくらでもある、そんなこということ自体設計者としておかいいのではないか」と強く指摘していた。
まったくもってそのとおりだと思わされた。地域の建築家として生きながら、ローカルであることを嘆き、自ら蔑むようでは良い物はきっとできない。
黒い瓦・赤や青い壁・格子…、表面的な事だけ見ていても発見的な地域性なんかは見えてこないかもしれない。
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