今回は町家の意匠装置についてです。
ご存じの方も多いと思いますが、町家には独特の意匠装置があります。
1.袖卯建(そでうだつ):
町家建屋の両側の軒下ある袖壁の事です。
機能については、
①防火説、②防風説、③防犯説、④構造説、⑤遮蔽説と様々であるが、
意匠的に凝った仕様にしたりと、格付け的意味合いがあったのであろう。
「ウダツが上がらない」の語源はここから来ていると言われている。
2.大戸(おおど):
町家の出入口にある潜戸付きの板戸の事です。
(幅1500㎜×高さ1900mm程度の大型戸)
杢目の美しいケヤキの一枚板を使ったものもある。
丁番には八双金物を使用した重厚なものもある。
3.蔀戸(しとみど):
正面の店間の柱間にはめ込まれた板戸の事です。
柱に掘り込んだ溝に上下二枚の板戸を入れ、雨・風を防いだ。
店を開く時には、上半分は2階部分に釣上げ、下半分は取外した。
用途によって、全面開放や半分開放とできる。
4.下り(さがり):
1階庇下にある下り壁の事です。
庇タルキを受ける出桁から小束を下げ、下端に横木を渡し小板を入れたもの。
庇下の店先空間の保護機能を果たし、雨風や吹雪、日差しを遮った。
下りの高さは、街路幅員と関係していて、
幅員が大きいと、下り高さも大きくしていたそうです。
ここで、豆知識ですが、
下りは垂直に下がっておらず、下端が少し街路側に出るように傾斜しています。
これは、遠目で全体を見たときに、垂直に見えるそうです。
皆さんも、一度気をつけて見てみて下さい。
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