土曜日, 5月 15, 2010

構造の時代変化

「ざっくりいって、モダニズム→ポストモダン→今。 で、構造は?」と、いうようなことを問われ、
まいったなー、、、と、思いながら、少し考えてみた。

結語、としては、スタディーが必要なので、半年~1年程もらえれば、と。

以下に、少し考えてみた結論、を書きます。

ふと、モダンやゴシックと思想を言われても、構造専攻の私は、あんまし重要に感じていないな~、と思い。
そこで、意匠と構造の違いを少し考えてみた。
天才構造家、ピーター・ライスの言葉
『エンジニアと建築家の違いは、建築家の反応が第1に“創造的”であるのに対し、エンジニアのそれが本質的に“発明的”であるということに区別されるであろう』

恐らく、基本的に、意匠設計者は、前者だと。そして、構造設計者は後者だと。
雑誌によく載るような構造設計者は、「構造家」とか「構造デザイナー」と肩書きしている人が多いですが、やはりその方たちもあくまで、エンジニアの本質の中にデザイナーの要素がある、というように思います。

創造的要素には、時代の思想が反映されて然るべき、発明的要素には反映されないわけではないが、その影響は小さい。

このように、考えたのは、

戦後の時代を造ってきた、代々木国立屋内総合競技場の坪井善勝 氏も、横山不学 氏も、木村俊彦 氏も、
時代を造っている、佐々木睦朗 氏も、渡辺邦夫 氏も、金田勝徳 氏も、今川憲英 氏も、金箱温春 氏も、
時代を造っていく、小西泰孝 氏も、佐藤淳 氏も、

みんな、 同じ 創造的な発明をしていると、思ったからです。

では、構造の時代的変化とは、何なのか。
経済状況の変化は、やはり、大きい。
戦後からバブルまでの膨張する経済状況の中での建築の構造。
その後は、ずっと収縮していく中での構造の変化。
その収縮していく方向での変化はこれからも続いていく。
今は、その途中点。
今後、サスティナブルな建築、構造の発想転換がどんどん生まれてくると思う。

そうではなく、と、いうと、
それは、やはり、どうしても、「技術の変化」ではないかな、と。
なって、しまう・・・。

具体的に、
1つめは、材料の進歩、施行技術の進歩。
この進歩のおかげで、物理的に出来なかったことが、可能になった。
この進歩は、競争社会では止むことなく、益々発達する。
ひび割れを自己補修するコンクリートや、塑性化しない鉄が現実に存在するようになった。

2つめは、学術的研究の蓄積。
研究の蓄積によって、評価できることが多くなった。
今では信じがたいが、コンクリートが万能材料で永久材料と疑われないことが常識の時代があった。研究と実験が蓄積され、正当な耐力評価ができるようになってきている。特に、日本は実物大加震実験(つまり、地震)の多く実施される国。その蓄積が、今の法律に反映されている。例えば、RCの保有耐力を算出するときに誰もが用いる馴染みの評価式 は、実験式(実験値から算出された式)であり、この数式を理論から追いかけようとしても無駄である。
材料と同様に、その発展は止むことない。今、苦労されている、開口付きRC壁や伝統木造軸組構法を設計することが厳しいとされるのは、現実的事象に基くことではなく、現象の解明が非常に難しく評価が出来ないためである。こういった、問題も今なお研究はされている。ただし、法律に反映されるのは非常に道のりが長い。

3つめは、コンピューターの発達。
これが、最も時代に影響を与えている。
コンピューターの進化は爆発的で、それは恐らくこれからも爆発的に進化する。
・保有耐力計算に用いる剛性マトリクス法による弾塑性解析(多くの一貫計算ソフトがこれ)
・動的計算に用いる振動論
・局部的、実物質的な解析が可能な有限要素法
今、現実に行われているこれらの解析に用いている理論自体はとうの昔から存在していた。
それらが、物理量的に使用可能になったのは、コンピューター能力の発達に他ならない。
つまり人力で、何年かかる計算が数分で出来るようになった。
これによって、評価の手法が増え、そして、その精度は格段に改善された。
逆に、人間の能力の差により、当然ながら現実に格差は生まれている。
理論を理解せずに、パソコンから出てきた答えに判子を押し、億を言う賠償責任は負えない。



結論
構造家の本質は変わらずに、創造的な要素を含む発明家。
その時代的変化は、あくまで、経済の変化、と、技術の変化。
申し訳ないですが、こんなんで、どうでしょうか!?
適格な結語はもう少し、待って頂くと、、、もしかして、ぜんぜん違う解答が。。。

意匠設計者が、ヴェンチューリのアヒルと装飾された小屋の連想作用を考えている頃、
構造設計者は、地盤と建物の相互作用を考えているような・・・

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