木曜日, 5月 13, 2010

金沢の建築家3

平口泰夫



少年の私が初めて出会った建築家が平口泰夫さんでした。「建築の設計を自分の職業にしたいな~」程度のピンボケした夢が「建築家になる」事にはっきりフォーカスされた出会いでした。


JIA(日本建築家協会)の石川県支部の現会長です。
金沢の建築家のリーダー的な存在です。若手は何かと助言を求める頼もしくも厳しい存在であり、反面台頭しようとする若手の「おもし」でもあります。これまでの対話から平口さんの建築の評価の軸は「言動」と「空間」の一致という事であるようです。その言葉はいつも私に重く圧し掛かっています。



WEB上には「シンプル」「モダン」「スタイリッシュ」などのキャッチコピーの建築家HPが散乱しています。一方「あたたかな」「親しみある」系のHPも満載です。いずれも中を覗くとそのフレーズから想像できる「それ系」の住宅が現れ、各建築家お得意のスタイルがお目見えします。

彼の作品には今流行のモノトーンのキューブは見当たりません。いわゆる純和風住宅も見当たりません。ガラス質の軽い家もありません。装飾を否定しているわけでもないようです。
空間よりも状況が問われる時流の中にあって「住宅は多様化に対するオールマイティーをめざすものではない」とHPの中で平口氏は言い切っています。続けて「固有的欲求への対象としての提供である」と語りかけます。私ごときが超訳すると「お客様中心主義」でしょうか。
「平口スタイル」的な括りを見出そうとしても作品たちはそれを許してくれません。あえて言えば同じものを作らないのがスタイルなのかもしれません。固有的欲求への回答であるのならばそれは必然です。
お客様中心主義でノンスタイルといっても迎合したデザインではなく、正反対に強い主張があるかのごとき形態を見せます。私の中では前言と矛盾せず平口建築だとわかる何かがいつもあります。それは作品の多くが予定調和的な結論が不在であるからではないかと思っています。

あるコンテスト審査員の講評で(ウンザリするほど住宅を見ているはず)、「『きれいだね』と誰もがうなずく住宅はたくさんある、しかし『それだけ』では心は動かない」と言っていました。金沢で平口氏が各賞受賞歴トップクラスなのは『それだけ』ではないのです。

いいやきっと『それ』をそもそも問題にはしていません、でなければ常にファイティングポーズをとっている必要はないはずですから……。





平口建築研究室 http://www.hiraguchi-arch.jp/

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1 件のコメント:

  1. 平口泰夫です。あなたはどなたなのでしょう?私の作品のひとつ『椿美容室フェイズ2』をみて建築家になろうとおもったといってくれた○○さんしか思い当りませんが、彼があなたではないとおもいますが?
    私のことを「器用な建築家」と云った建築カメラマンがいましたが、器用貧乏なら当たっているかも知れません。
    あなたの「お客様中心主義」は超訳ではありません。ずばり「消費者主義(コンシューマリズム)」です。「固有的欲求への対象」を120%追究する結果は、必ずやオリジナルとして結実します。そこには先達の模擬も己としてのオリジナルの敢えてのの模索の介入も必要とはしません。とういのが私の逃げ口上的持論」です。建築家のオールマイティーを翳す姿は懐疑にしか映っていません。偉そうな大した蓄積もないので、既成概念からできるだけ遠うのいたところから、物件ごとにゼロからのスタートしざろうえないのが実情です。ですが建築をやっていく以上、つっぱていなければ、倒れてしまうので、言葉をはっして己を支えています。
    あなたのいう「予定調和的」なことは、考えたこと確かにないようにおもいます。しかし「きれいだけではだめ」とおなじような「ここちよさそうだけど、それだけではだめ」とそれこそ酷評された経験は、私もあります。
    「言ってることと、創ってるものの一致」はいまも大切におもっています。が若い人の「重荷」になっているとはおもってもいませんでした。そんな偉くはないので。気楽にはなしかけていただければ、ご理解いただける筈です。
    先日も30才の男女の建築家とおでんやさんで楽しく建築のこと語り合いました。是非あなたとも呑み交わしたいです。

    最近このブログに出くわしましたので、とりあえず投稿いたしました。

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