木曜日, 6月 03, 2010

金沢の建築家6

吉村寿博

今回は「金沢の建築家2」で書いた金沢第三世代の建築家です。
吉村さんは21世紀美術館の現場監理をしておられたそうです。妹島和世+西沢立衛/SANAA におられました。

最近自宅が近所との縁で美しい奥様と吉村さんと3人で豚足を食べました。島根生まれで金沢の湿った気候にもストレスが溜まることはないそうです。

ここまで建築家の印象的なコトバを切口にしてきましたが彼のコトバは「人との出会いや繋がりを大事にする」です。

ちょっと意外? 妹島事務所なんて聞くときっと精鋭ぞろいの切れ者ぞろいだからもっと尖がっているんじゃないかと。

そのコトバが建築空間とどう関係するのか…、雑誌「新建築」に掲載された長谷川裕子学芸課長の文によれば「共存・共同・意識」がコンセプトのバックボーンになっているとのこと。
!!なるほど言い換えると「人との出会いや繋がりを大事にする」事でまるびいの空間ができたのでしょう。その態度は「気負わず素直に考えつくす」という大事さを教えてくれるようです。

同じ新建築掲載の設計の解説文からもそれが伺えます。「明るく開放的な美術館」というシンプルというかベタな題名です。よくある公共建築のコンセプトで、拍子抜けするくらいあっさり書いてありますが、本当にそのとおりの美術館であるところが今日の評価の一端ではないでしょうか。同じお題目を標榜しながらもあんまり開かれてない施設・開かない運営もあるでしょうから。

吉村さん設計の住宅を見学させてもらいました。そこで配られた一枚のダイアグラムでコンセプトをあらわしています。これは第二世代にはあまり見られない、第三世代が好んで用いるプレゼンでもあります。これはもともとこうなのか結果なのかは判りませんが複雑な過程を総括するというか、還元するというか、素直に戻るというか…。
金沢第二世代だともっとなんというか……、う~ん…、戦う姿勢みたいな感じかな?… がします。空間と同時に提示されるものはもっと細密なドローイングとか、難解なコラージュとかでそこまであっけらかんと思考の始原を明かしません。
じゃあ彼ら金沢第三世代の意識が希薄なのか?もちろん否です。ルイス・カーンもダイアグラムで説明していましたし、どっちかというと一周して戻ってきた感じですかね。
カーンが出たついでに考えると彼の言った「オーダー・フォーム・シェイプ」のうちフォームをちゃんとやる感じが第3世代じゃないかとおもいます。バブル期とちがい高価な材料にこだわれない事や、説明責任という風潮には個人のセンスに汚染された形では対応できない状況も作用しているとは思いますが、ただそれは無理からではなく自然にやっているように感じます。




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