木曜日, 10月 28, 2010

金沢駅もてなしドーム


駅に久しぶりに行った。いつもはこのドームを車の中から外観を見ているぐらいで、それほど興味が湧かずにいた。

中に入ると空間は大屋根の架かった広場に地下通路への大きな吹抜けがあるという中規模都市の駅前広場でよく見かける空間構成。
形や空間の質はどうあれ、スペースフレームの構造に圧倒される。




構造設計は構造計画プラス・ワンの金田勝徳さん。日本の構造家の先頭集団の一角。

スペースフレーム自体はいくつも見掛けているがここのすごさは、3次元に曲がりながら壁面までスペースフレームで出来ている架構の形とその素材がアルミであること。たぶん大々的なアルミのスペースフレームなんて日本初ではないかとおもう。

角度が違うワイヤーにテンションを掛けるためのアルミのリングが象徴的で、バスで駅に来た人、駅から町へ地下道を通って向かう人、私鉄からJRに乗り継ぐ人、これら様々な移動する人たちの交差する位置の上空にテンションリングが置かれ広場のハブ機能を建築の構造システムで暗示している。
ここでは建築の質も空間の意味付けも高度な構造が支配している。




この難しい構造を高い技術力で設計している構造計画プラスワンとは以前一緒に仕事をさせてもらっている。驚くべきことはこの最先端技術は20人くらいの会社で生み出されているということ。これはプラスワンに限らず日本のトップクラス(すなわち世界のトップクラス)の構造家の事務所はそれ以下の会社規模である。言ってみれば中小企業。
決して何百人、何千人の会社が日本の構造技術を生み出しているわけではない。大阪の町工場が最先端技術を持っているという事例以上に建築の技術は小さな組織で生み出されているかもしれない。
ドームの横の音楽堂だって、21世紀美術館だってそうである。当初は2~3人からスタートしています。

しつこいようですが、大組織・大資本・大学などの大きな力が技術を生み出しているのではありません、当然ながら高度なインテリジェンスを身につけたうえで夢と執念と絶え間ない努力とセンスが素晴しい構造を生み出しています。できないやらない人間にはどんな大組織・大資本がついたところで出来ません。



会社の規模は、質的・技術的・デザイン的な信用力と同義ではありません。


住宅市場でもハウスメーカーに頼るだけが道ではありません。建築家をよろしく。


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3 件のコメント:

  1. 全く同感です。カナケンシュウも頑張れ!

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  2. 匿名さんありがとうございます。金沢の街やものつくりびとが元気になってほしいです。

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    1. 駅前「もてなしドーム」の構造設計を担当させていただいた金田勝徳と申します。お褒めをいただきありがとうございます。今頃この記事を拝見して、お礼を申し上げています。金沢市の姿勢を見ていると、古い町並みを非常に大切にしている一方で、新しいものを驚くほど積極的に取り込んで、見事に調和のとれた街づくりをしていることがよく分かります。市民と行政との一体感が、本当にすごいと感じられます。最近谷口吉生さんが設計された「鈴木大拙館」の構造設計も担当させて頂きました。4月下旬に訪れた際には、小雨と桜吹雪の向こうに見える大拙館にただ脱帽して帰ってきました。金沢市と金沢市民のますますのご発展を。

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