サグラダ・ファミリアについて紹介したが、設計者はご存知の通り天才建築家 ガウディ である。
ガウディが天才といわれる由縁は、彼が構造合理主義者であることに他ならない(と、個人的に決めさせて頂く)。
サグラダ・ファミリアの形態は、ガウディの逆さ吊り実験により求められている。
逆さ吊り実験とは紐を天井から吊るし、そこに建物の自重分布に相当する重りをぶら下げていく。
その中で得られるカテナリー曲線が重なって、引張力のみが作用する曲線が形成される。
その形を引っくり返すと、今度は軸方向の圧縮力のみを負担する美しいアーチが形成される。
ガウディはこれをフニクラ(懸垂線アーチ)と呼んだ。
一見、複雑そうに映る構造もフニクラのような単純な幾何学で形成されると構造的に合理的で、そして、それは美しい。
海外では例の多い、逆転懸垂型シェルなども同じ構造力学である。
残念ながら、日本のような地震国では、鉛直力だけではなく水平力に抵抗する要素を考慮しなければならないので、このような構造を成立させるのは難しい。
しかし、このような、単純な幾何学の組合せは複雑だが理解しやすく、規則性があるがために構造計算、施工にかかる時間も短縮され、コストも抑えられる。
近年、サグラダ・ファミリアの施工が急速にスピードアップされたのもそのためだ。
単純な幾何学で成り立っているため、自動工作機械の導入が可能となったからである。
「果たして、完成することで魅力が生まれる建築なのか?」 という、個人的な疑問は残るが・・・。
しかし、この構造合理主義は地方の面白いことをやりたい設計者にとっては必要な考えではないかと思う。
コストが低い、設計工期が短い、構造担当者が一貫計算ソフトに依存しなければならない、
というような設計事務所の抱える実情は、
意匠設計者が構造合理主義者に成れることで面白いものに変わっていくのではと、
思ってしまう。
知ることで無くなる可能性と、知ることで生まれる可能性の境界は難しいが、
少なくともこの場合は後者である。
地方のような条件でも、意匠が構造を勉強し、提案することが出来ると、
面白い、美しい建築を現実的に成立させることが出来る可能性が生まれる。
その可能性は潰れない。
何故なら、構造計算は提案した意匠設計者ではなく、構造担当者が行い、判子を押すのだから。
でも、
やっぱり、
サグラダ・ファミリアは創造され続けることで魅力が生まれると思う。
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